こんにちは。ひまわり(@hattatsusurvive)です。
以前、障害のある子どもの進学について、学校・学級の分類を行いました。
今回は、その中でも、「通級指導教室」について、取り上げてみたいと思います。
この記事では、特に、「通級指導教室」と、発達障害のある子との関わりについて力点を置きます。
前の記事だけだと、「通級指導教室」について、よくわからなかったよ
そうだね。今回詳しく解説するよ
長くなるから、必要なところだけ読んでね
・通級指導教室について知る
・発達障害のある子どもの通級指導教室での活動内容を知る
・発達障害のある子が通級指導教室に通うメリット・デメリットを知る
小学校・中学校の通級指導教室とは?
では、まずは、通級指導教室がどんなところなのか、調べていきましょう。
文部科学省の規定
「通級による指導」の法的根拠は、学校教育法施行規則第140条にあります。
今回は、「通級指導教室」に関わる文部科学省の「告示」の一部を以下の通り示します。
当該児童または生徒の障害に応じた特別の指導(以下「障害に応じた特別の指導」という。)を、小学校若しくは中学校又は中等教育学校の前期課程の教育課程に加え、又はその一部に替えることができるものとする。
1障害に応じた特別の指導は、障害の状態の改善又は克服を目的とする指導とする。ただし、特に必要があるときは、障害の状態に応じて各教科の内容を補充するための特別の指導を含むものとする。
引用:【平成5年1月28日文部省告示第7号】
難しい言葉が続きましたね。
けれども、重要な点は次の2点。
・「特に必要があるときは、障害の状態に応じて各教科の内容を補充するための特別の指導を含むものとする」
まずは1点目から。
後述しますが、「通級指導教室」で行われるのは、基本的には「自立訓練」です。
この「自立訓練」の時間は、一般級の「教育課程」に加える、もしくは代替できるということです。
そのため、一般級に在籍しながら、必要な「障害に応じた特別の指導」を受けられます。
そして2点目。
こちらも後述しますが、「自立訓練」の時間には制限があります。
特別支援学級とは違い、多くの時間を一般級で過ごすことになるからです。
「通級指導教室」で行われるのは、もっぱら「自立訓練」です。
しかし、「自立訓練」の時間でも、必要であれば、「各教科の内容を補充するための特別の指導」を受けられる可能性がある、ということになります。
通級指導教室の対象となる障害
では、通級指導教室の対象となる障害には、どのようなものがあるのでしょうか。
対象は、学校教育法施行規則によって、以下の通り定められています。
・言語障害者
・自閉症者
・情緒障害者
・弱視者
・難聴者
・学習障害者
・注意欠陥多動性障害者
・その他障害のある者で、この条の規定により特別の教育課程による教育を行うことが適当なもの
引用:学校教育法施行規則
広く障害のある子が対象とされていることがわかります。
そして、自閉症や、学習障害、注意欠陥多動性障害などの発達障害も通級指導教室の対象に含まれています。
注:知的障害については、通級指導教室の対象に含まれていません。
通級指導教室の設置状況
通級指導教室は、残念ながら、すべての小・中学校にあるわけではありません。
そのため、自校に通級指導教室がない場合、他校の通級指導教室に通う場合があります。
発達障害のある子は通級指導教室で何をするの?
では、発達障害のある子は、通級指導教室でどのような活動をするのでしょうか。
通級指導教室の活動内容(指導内容)
では、通級指導教室では、一体、どんな活動をするのでしょうか。
自立活動
通級指導教室のメインの活動はこちら。
・障害の状態の改善・克服を目的とする指導
発達障害のある子にとっての活動には、例として、以下のような内容があります。
・読む、書くなどの指導
・不注意による間違いを少なくする指導
・衝動性・多動性を抑える指導
・ソーシャススキルやコミュニケーションスキルを高める指導
教科指導ではなく、生活していく上で必要なスキルを高めるイメージですね。
子どもによって、必要なスキルが異なりますので、指導も異なってきます。
各教科の内容を補充するための特別の指導
自立活動をメインとしながらも、障害の状況に応じて、教科の学習も可能な場合があります。
ただし、その活動も、障害に対する支援が必要なものが対象となり、単なる補習とは異なることに注意が必要です。
通級指導教室の活動時数
では、通級指導教室の活動時数は何時間なのでしょうか。
先の文部省告示の続きを見てみましょう。
障害に応じた特別の指導に係る授業時数は、(略)年間35単位時間から280単位時間までを標準とし、同条(引用者注:学校教育法施行規則第140条)第六号及び第七号に該当する児童又は生徒については年間10単位時間から280単位時間までを標準とする。
引用:【平成5年1月28日文部省告示第7号】
週になおすと、1~8単位時間に相当します。
小学校の標準授業時数は週25~28ですので、多くの時間は一般級で過ごすことがわかります。
自治体における取り組み
文部科学省での「通級指導教室」についての取り組みは説明いたしました。
しかし、実際の取り組みは、自治体によって異なる可能性があります。
例を示しながら、見ていきたいと思います。
(例)京都市教育委員会
まずは、京都市教育委員会の事例を見てみましょう。
京都市では,小学校の普通学級に在籍する言語,聴覚,視覚の障害のある児童が,障害に応じた特別な指導(自立活動)を受ける場として「ことばときこえの教室」「弱視通級指導教室」を設置しています。
また,小・中学校の普通学級に在籍するLD(学習障害)・ADHD(注意欠陥/多動性障害)・自閉症スペクトラム等の障害のある児童生徒が,障害に応じた特別な指導(自立活動)を受ける場として「LD等通級指導教室」を段階的に設置してきています。
高等学校においても,平成30年度から通級指導を開始しています。
引用:京都市教育委員会「通級指導教室」
京都市の場合、発達障害のある子は、小・中学校の一般級に在籍しながら「LD等通級指導教室」を利用できるということですね。
また、高等学校においても、通級での指導が受けられるという点でも、支援が充実しているといえるでしょう。
自治体による格差
2020年1月現在、残念ながら、「通級指導教室」の設置・実施状況には、自治体によって格差が存在するようです。
「通級指導教室」への通級を希望しても、希望が叶わないことも。
ニュース記事をご紹介します。
自治体によっての格差が大きいということは、受けられる支援が変わってくるということでもあります。
一刻も早い、格差是正が望まれます。
「通級指導教室」のメリット・デメリット
通級指導教室のざっくりとしたイメージは伝わったでしょうか。
では、通級指導教室に通う、メリット・デメリットも見ていきましょう。
メリット
まずはメリットから。
・子どもに必要なスキルを高められる
・一般級に在籍する(内申に含まれる)
・一般級の子どもと接点が多い
・障害のある子の「居場所」ができる可能性がある
デメリット
では、デメリットはないのでしょうか。
見てみましょう。
・自校に通級指導教室があるとは限らない(他校へ行く可能性も)
・一般級の授業を抜けて通級指導教室に通うため、授業に遅れが出る可能性がある
特に、授業の遅れを心配される方が多いかもしれません。
ただし、先述の通り、通級指導教室は自治体による差は大きいです。
心配な場合は、自治体に問い合わせてみるのがいいでしょう。
まとめ
今回は、特に発達障害のある子と通級指導教室について考察しました。
メリット・デメリットも含めて解説しましたが、一番大事なのは、子ども本人の意思である、とひまわりは考えます。
メリットとして挙げた事項も、子どもにとっては、負担になってしまう可能性もあります。
また、デメリットとして挙げた事項についても、子どもにとってはそう感じられない場合もあるでしょう。
学校や行政と相談しながらも、子ども本人の意思も尊重した進路選択が望ましいでしょう。
そして、先述の通り、自治体によって、差の大きいこの制度。
格差のない制度設計も待たれます。
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