こんにちは。ひまわり(@hattatsusurvive)です。
これまで、発達障害のうち、ASDやADHDについて解説してきました。
今回は、発達障害のうちの、LD(学習障害)に焦点を当て、考察します。
他の発達障害の特性と同様、近年になって注目されはじめたLD(学習障害)。
私も特別支援教育について学んでから、その知識を得ました。
ひまわりが子どもの頃には、LD(学習障害)はあまり知られていませんでした。
けれど、最近では、その特性や対処方法なども徐々に知られるようになってきています。
今回の記事を通じて、LD(学習障害)についても知っていただければと思います。
LD(学習障害)って、どんな障害なの?
知らない人も多いよね。説明するよ。
LD(学習障害)の症状・特徴
では、LD(学習障害)の症状・特徴について見ていきましょう。
LD(学習障害)の定義
まずは、LD(Learning Disability)(学習障害)の定義から。
文部科学省では、以下のように定義しています。
学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。
学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。
引用:文部科学省「主な発達障害の定義について」
長くなりましたね。
では、中身について調べてみましょう。
LD(学習障害)は先天的な障害
他の発達障害と同様に、ハッキリした原因はわかっていません。
しかし、脳に原因があると推測されています。
つまり、後天的に「学習障害になる」といったものではなく、先天的な障害なのです。
LD(学習障害)の困難
文部科学省の定義によっても、LD(学習障害)特性は範囲が広いです。
定義されている範囲も、以下のものがあります。
・話す
・読む
・書く
・計算する又は推論する能力のうち特定のもの
ひとことで「LD(学習障害)」といっても、上記のどこに困難があるのかには個人差があります。
また、上記の一つに該当する場合もあれば、複数に該当する場合もあります。
その中でも、頻出する特徴を、以下の3つにまとめます。
dyslexia(ディスレクシア)(読字障害)
識字に困難を抱える障害です。
文字を読むことに困難があります。
平仮名やカタカナ、漢字が読めない、音読できないなどの症状が見られます。
dysgraphia(ディスグラフィア)(書字表出障害)
書字に関して困難を抱える障害です。
平仮名やカタカナ、漢字を書くことが難しい、写字できないなどの症状が見られます。
disukarikyuria(ディスカリキュリア)(算数障害)
計算する又は推論する能力に関して困難を抱える障害です。
主に、算数・数学について困難があることが多いようです。
数を数えられない、計算ができない、数の概念を理解するのが難しいなどの症状が見られます。
LD(学習障害)の除外要因
文部科学省の定義では、LD(学習障害)についての除外要因も記されています。
つまり、「視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害」ではない、ということです。
逆に、視覚障害・聴覚障害・知的障害・情緒障害に該当する場合は、LD(学習障害)には該当しません。
LD(学習障害)と他の障害(ADHD等)との併発
上記の項目の通り、LD(学習障害)は視覚障害・聴覚障害・知的障害・情緒障害とは併発しません。
しかし、他の障害(ASDやADHD)と併発する可能性はあります。
以下の論文では、その可能性に触れています。
ADHDや広汎性発達障害の一症状として学習障害が出現することもしばしばあり,注意が必要です.
引用:順天堂医学2010年 56 巻 1 号 7-13 細澤麻里子,田中恭子「就学前に発見が必要な発達障害」
LD(学習障害)かな? と思ったら
子どもの識字や書字、算数の学習の遅れが気になった。
そんなとき、LD(学習障害)ではないかと疑問に思うこともあるでしょう。
では、LD(学習障害)ではないかと疑問に思ったとき、保護者の方はどうしたらいいのでしょうか。
LD(学習障害)は何歳で診断されるのか
一般的に、文字や数の学習は、小学校で始められます。
ですから、そういった学習の遅れは、小学校入学後に気になるパターンが多いかと思います。
幼児期には文字の読み間違いなどは、障害がなくても、よく見られます。
そのため、LD(学習障害)であるかどうかの診断は、就学後というケースが多いです。
近年、学校の多くの教員が発達障害、学習障害について研修などを受けています。
そのため、教員から、学習の遅れについて、客観的な評価を受けてもいいでしょう。
検査を受けられる医療機関
では、診断を受けるには、どのような病院に行けばよいのでしょうか。
実は、小児科であっても、学習障害・発達障害の診察ができる病院は限られています。
診断を受けたい場合、以下のページなどが参考になるでしょう。
日本小児神経学会の「小児神経専門医のいる施設」では、発達障害の診療が可能な小児神経専門医の名簿が掲載されています。
LD(学習障害)の療育と改善
2020年1月現在、LD(学習障害)の治療薬は、日本において販売されていません。
また、LD(学習障害)と一括りにしても、個人によって、特性は様々です。
ですから、すべてのLD(学習障害)児に有効な治療というものは、存在しません。
しかしながら、トレーニングなどの療育によって、症状の改善が期待できる可能性はあります。
ビジョントレーニング
「見る」ことのに特化したトレーニング方法です。
眼球運動に焦点を当て、「見る」の能力を高めることを目指します。
例えば、大阪医科大学LDセンターでは、「ビジョン・セラピー」と呼ばれる訓練を行っています。
(同センターでは、LD(学習障害)児だけでなく、他の発達障害児についても訓練を行っています)
「読むトレGO!」
ディスクレシア(読字障害)に特化したトレーニングですが、こういったトレーニングもあります。
その他の訓練
残念ながら、すべてのLD(学習障害)児に効果のある訓練は見いだされていません。
しかし、2020年1月現在、LD(学習障害)児に対する訓練は数多く研究されています。
研究されている訓練を行うことで、特性が改善される可能性もあるでしょう。
まとめ
今回は、LD(学習障害)に焦点を当て、その症状・特徴を紹介しました。
解説した通り、一言にLD(学習障害)といっても、その特性は様々です。
LD(学習障害)のある方の数だけ、困難さの数のパターンがあるといえるでしょう。
また、治療や訓練についても、一部の例を除き、まだ研究途上にあるともいえます。
そのため、LD(学習障害)について、ご存じない方も、まだ多くいらっしゃると思われます。
この記事をきっかけに、LD(学習障害)への理解を深めていただければと期待しております。
LD(学習障害)への理解のきっかけになれたらうれしいです
コメント